「最近、近くが見づらくなってきたな~。いよいよ遠近両用メガネかな...
でも、どんなフレームでも作れるのかな?
そういえば、大きいフレームの方がいいよ、って誰かが言ってたな。。」
といったようなことが頭に浮かんでくるかもしれません。
実際、遠近両用メガネはどんなフレームでも作れるわけではありません。
極端にフレームの上下幅の狭いフレームは遠近両用レンズは入りません。
これは、遠近両用レンズの構造を理解すると分かります。
遠近両用レンズの度数の分布は、下図のとおり、上部から下部にかけて
度数が変化します。
つまり、フレームにある程度の上下の幅がないと、近方の度数まで入りません。
しかし、最近はフレームのデザインも多様化して、上下幅の狭いフレームで
作りたいという人も多く、それに対応して、メーカーも上下幅の狭いフレーム
にも入るようなレイアウトの遠近両用レンズを用意しています。
極端に上下幅の狭いフレームでなければ、遠近両用メガネは作れます。
では、遠近両用レンズがはいれば、上下幅の狭いフレームでもいいのか、
というとそうでもありません。
遠近両用レンズは、レンズ上部の遠くを見る部分から、
下部の近くを見る部分まで徐々に度数が変化していますが、
この度数の変化している部分を累進帯(るいしんたい)といい、
この累進帯の長さを累進帯長(るいしんたいちょう)と呼びます。
この累進帯長は長いものから短いものまでありますが、
この長さの違いによって、同じ度数でも見え方は異なります。
累進帯長の長いタイプ | 累進帯長の短いタイプ | |
---|---|---|
レンズレイアウト | ||
ユレ・歪み | 小さい | 大きい |
視野 | 広い | 狭い |
目の上下の回旋量 | 多い 目を上下に動かす筋肉を多く必要とします。 |
少ない 近方視がしやすくなります。 |
もうひとつ、遠近両用の見え方に影響を及ぼす要素が加入度(かにゅうど)です。
これは遠方を見る度数と近方を見る度数の差のことをいいます。
この加入度は、年齢を重ねていくと老視(調節力の衰え)が進むことによって
大きくなっていきます。そして、加入度が強くなるほど歪みが大きくなり、
視野が狭くなっていきます。
弱い加入度 | 中位の加入度 | 強い加入度 | |
---|---|---|---|
レイアウト | |||
年齢の目安 | 40歳~45歳 | 45歳~55歳 | 55歳~60歳 |
ユレ・歪み | 小 ユレ・歪みをあまり感じません。初めての場合、慣れやすい。 |
中 少しユレ・歪みを感じます。初めての場合、慣れるまで少し時間がかかる。 |
大 ユレ・歪みを最も感じます。初めての場合、慣れるまで 相当練習が必要。 |
視野 | 広い 遠方部・中間部・近方部の視野が広い。 |
中 遠方部・中間部・近方部の視野がやや狭くなる。 |
狭い 遠方部・中間部・近方部の視野 が狭い。 |
加入度によって、このように見え方に違いがでてくるので、
初めて遠近両用を作る場合、早めの方(年齢が若いうちから)が良い、
というのはこのような事情もあるからです。
もう一つは、若いほど順応力が高いため、慣れやすいということもあります。
また、遠近両用の場合、下目づかいで近くを見るため、眼の回旋力が必要
になりますが、これも若いうちの方が楽にできます。
もし、年齢が高い方で、初めて遠近両用を作る場合は、
加入度数を弱めにして徐々に慣らしていくのが良いでしょう。
遠近両用メガネは、デザインに強いこだわりがなければ、上下幅の広い
フレームを選んだ方が、歪みも少なく、視野も広く見やすくなります。
特に加入度の強い人ほど、上下幅の広いフレームが良いでしょう。